チャンスボール、ものすごく大事です。
一番簡単で、一番奥が深いと思っています。
試合中、チャンスボールがきた時に、ちょっとセッターの手からずれただけで、「チャンスだよ!!!」と、怒られた経験のある方も多いのではないしょうか?
落としたわけでも、はじいたわけでもないし、失点してないのに、どうしてそんなに怒られるのか。
確かに、チャンスボールだし、簡単なボールです。
簡単なボールなんだから、ちゃんと返せるはずなのに、返らない。
と、思って怒っている・・・、わけではありません。
ちなみに、経験者さんの中では、チャンスを返すことは絶対です。
簡単なボールだから、経験者さんなら当然できることだから、ではありません。
チャンスボールがセッターに返らないということは、試合に負けてしまう可能性が高くなるからです。
なぜ、試合に負けてしまうのか?
- コンビ攻撃が使えなくなる
チャンスボールに限らずですが、セッターの手の中に入らないボールを返してしまった場合、まずコンビ攻撃が使えません。
速攻などのコンビ攻撃は、セッターさんの手の中に入るカットだからこそ、ブロッカーに読まれにくく、アタッカー全員のベスト攻撃ができるトスになります。
カットが悪いと、トスの方向が読まれやすく、また、3人とのコンビが使えたものが、2人になったり、レフトのみのになったりします。
- 使えるアタッカーが制限される
さらに、セッターが何歩も歩いてトスを上げないといけなくなった場合、レフトにしか上げられなくなることもあります。
さらにさらに、セッターが走って苦し紛れに上げたトスは、レフトアタッカーでさえも打ちにくいトスになることもあります。
レフト攻撃のみになる、ということは、相手にトスが上がる場所がわかってしまい、その選手へのブロッカーのマークがきつくなるということです。
打ちにくいトスになる、ということは、その選手の7、8割の力でしか打てなくなる、ということ。
つまり、決定力が下がるということです。
決定力が下がる=アタックが決まりにくい=試合に負ける
と、なります。
もちろん、セッターさんのレベルによっては、乱れたカットでも、フォローして綺麗に上げることもできる選手もいます。
そして、レフトにしか上げられないトスで、マークされて、ブロッカー3枚に待ち伏せられても、ねじ伏せられる選手もいます。
セッターさんも、アタッカーさんも、そのレベルを目指すことが大事です。
それでも、その人のベスト攻撃が10だとしたら、7、8くらいの力で、点を取っているということです。
ただし、その試合では、です。
相手の守備レベルによっては、7、8割の力では決まらなくなることもあり、格上の相手チームから点を取ろうとするなら、7で勝負するより、10で勝負する回数を増やしたいですよね。
アタッカー全員が10で勝負する回数が増えれば、結果的にチーム全体の決定率が上がり、試合に勝つ可能性が高くなるのです。
さらに、コンビが使えれば、個人の力のMaxが10だとしても、アタッカー同市の掛け算で20にも30にもなります。
では、なぜチャンスカットなのか。
もちろん、おわかりかと思いますが、カットが簡単だからです。
当然ながら、サーブカットより、スパイクカットより、フェイントカットより、チャンスカットの方が簡単です。
だからこそ、ラッキーなことにチャンスで返ってきた時には、確実にベスト攻撃で、得点を取っておきたいのです。
セッターは、選択肢の多いトスの中、チャンスボールきた!誰に上げよう(喜)と、考えているし、アタッカーは、自分に上げて!これは絶対決める!と色めきたって待っています。
その中で、カットがうっかりずれてしまった!
その瞬間、全員がガッカリしてしまいます。
ちょっとくらい、とか、落ちてない、とかの問題ではありません。
簡単だからこそ、大したことない、と思い、雑になりがちですが、わかっている経験者さんこそ、チャンスカットのプレッシャーを感じています。
レシーバーさんが、味方の攻撃力を上げるのです。
絶対にベストカットを返さないといけないというプレッシャーのため、チャンスカットが一番苦手、という名レシーバーさんを知っています。
なぜ、そんなに怒られるのか、がわかったところで、これからはチャンスカットは大事に丁寧にわが子を抱いているように扱うことをお勧めします。
もし、チャンスカットが少しでも乱れてしまった場合、自分から「ごめん!チャンスなのにっ!」と素直に先に謝ってみましょう。
この人は、チャンスボールのカットの意味がわかってる、と、怒られることも少なくなるかもしれません。
かも、ですが(笑)
では、どうやって、ベストな返球をするのか?
今回は、長くなってしまったので、また次回ご紹介したいと思います。